マグロ等の大きな魚や深海魚にも含まれている水銀。
妊婦さんのお寿司では、過って水銀をたくさんとってしまわないように注意しましょう。
ここでは胎児への影響が少ないレベルや付随する問題もまとめます。
目次
妊婦さんとお寿司「水銀」
お魚はタンパク質・カルシウムが豊富で、青魚に多く含まれるDHA・EPAは血管障害の予防やアレルギー反応の抑制にも役立ちます。
しかし妊婦さんのお腹の中の赤ちゃんにとっては、まだまだ消化できない成分がたくさんあります。
マグロやサメ・クジラ等の大きな魚や深海魚は、食べる量も多いので自然界の中にある水銀を食物連鎖の中で多く取り込みます。
そして「水銀を含んだマグロ等」を妊婦さんが食べると、赤ちゃんの発達に影響を及ぼすことがあるのです。
妊婦さんとお寿司「魚の栄養」
魚は赤ちゃんの栄養源になる成分もたくさん含まれています。
問題なのは魚の種類や調理方法、そして量です。
これらによっては妊婦さんが食べても問題が無い魚(お寿司)もあります。
妊婦さんとお寿司「一週間の水銀量」
「制限が必要になる魚」と「制限がない魚」は以下の通りです。
※一食分の刺身または切り身80g
①キダイ・マカジキ・ユメカサゴ・ミナミマグロ(インドマグロ)等は一週間に取り込んでも良い水銀量の半分。
②キンメダイ・メカジキ・本マグロ(クロマグロ)・メバチ(メバチマグロ)は一週間に一回だけ。
③キハダ・サケ・アジ・サバ・イワシ・サンマ・タイ・ぶり・カツオ・メジマグロ・ツナ缶は制限なし。
妊婦さんとお寿司「水銀による影響」
水銀を摂取しすぎると、音を聞いた時の反応が1/1000秒以下のレベルで遅れる可能性があります。※厚生労働省
因みに1/1000秒以下の遅れは「日常生活では問題のないレベル」とされています。
しかし「子供の未来を考える」という意味では注意したいですね。
妊婦さんとお寿司「赤ちゃんの排出機能」
お腹の中の赤ちゃんは水銀を排出する機能が備わっていないので、魚に含まれる水銀量にも注意する必要があることが分かりました。
魚が大好きな日本人にとって、水銀量の80%以上は魚介類を経由して取り込まれます。
大きな魚や深海魚が蓄積した水銀は、妊婦さんの体を通して赤ちゃんに悪影響を与えないように気をつけましょう。
妊婦さんとお寿司「胎盤」
「胎盤は4週間程で形成される」と言われています。
そして水銀は胎盤を経由して取り込まれます。
「魚の水銀量対策をしていなかった」という人も妊娠に気付いた時からの対応で問題ありません。
地域よってはクジラ(イルカ)の煮つけを食べる地域もあります。クジラをよく食べる人も、水銀の摂取量には注意しましょう。
妊婦さんとお寿司「免疫力の低下」
妊婦さんは普段よりも免疫力が低下しています。
そのため、普段食べていても問題が無かった食品で食中毒や食当たりになることもあるのです。
お寿司等の魚介類では、食中毒の原因「腸炎ビブリオ、リステリア、ノロウイルス等」に感染することもあります。
妊婦さんとお寿司「食中毒」
腸炎ビブリオは好塩菌(濃度の高い塩分で育ち増殖する細菌)の一種です。※沿岸部や海泥にいます。
私たちは、魚介類やお寿司を介して食中毒になることがあります。
調理後の調理器具・手等を介した食品でも食中毒になることがあるのです。
《食中毒の予防方法》
・調理前に魚介類を水道水で洗う
・調理後の調理器具類もきちんと洗浄・消毒
・まな板は食材によって使い分ける(魚介用・野菜用等)
・4度以下の冷蔵庫で保存
・冷凍食品の解凍では専用の冷蔵庫・解凍庫で行う
・魚貝類は芯まで加熱調理(60℃で10分以上)
妊婦さんとお寿司「リステリア」
リステリアとは、リステリア属に属する真正細菌の総称を言います。
リステリア(リステリア・モノサイトゲネス)は、動物の腸内にもある細菌です。
食品を介して感染すると赤ちゃんの発育にも影響が出ることがあります。
また、食中毒になると妊婦さんが服用できる薬は限られているので、嘔吐や下痢によって妊婦さんもお腹の赤ちゃんも苦しみます。
妊婦さんとお寿司「注意する食品」
欧米ではナチュラルチーズや生ハム、肉・魚のパテ、スモークサーモンでも食中毒になることがあります。
このときも調理工程に「加熱」がある場合は、リステリアのリスクも軽減されます。
牡蠣・貝類はノロウィルスのリスクがあるので避けていた方が安心です。
妊婦さんとお寿司「水銀対策」
妊婦さんのお寿司では信頼のあるお店で新鮮な魚を選び、食べ過ぎないように注意する必要があります。
回転寿司でも、可能であれば「回っているお寿司」よりも「新鮮なお寿司」を握ってもらった方が安心です。
お寿司を持ち帰るときには保冷剤必須で、帰ったらすぐに冷蔵庫で冷やして保存。また、早めに食べ切るようにしましょう。
妊婦さんとお寿司「意思を強く持つ」
お祝いの席でもよく出てくるお寿司。
しかしパートナーや周りの人の理解不足では、「お寿司をたくさん食べても問題無い」と判断する人もいるでしょう。
しかし、食べ過ぎや食中毒で後悔するのは妊婦さん自身です。
そして妊婦さんの精神状態や体調(嘔吐・下痢)は赤ちゃんにとっても苦しみの元になります。
即効性のある治療を受けられるわけでも無いので、お寿司も美味しく食べられる範囲で食べて楽しい時間を過ごせるようにしましょう。
妊婦さんとお寿司「周りの理解」
厚生労働省では、比較的問題がないリスクでも「絶対に問題が無いこと」であれば勧告しません。
パートナーや周りの人には感謝と配慮もしつつ「理解」を得られるように話します。
それでも理解してくれない場合は厚生労働省のHPを一緒に見てもらったり、医師の口から直接伝えてもらう事をおすすめします。
まとめ
妊婦さんの食事でも、お寿司ばかり等の偏った食事や適量を超えた(または少なすぎる)量の栄養源・成分の摂取は赤ちゃんの発育に影響を与えることがあります。
水銀が気になるお寿司も「ネタや調理方法、量」を気をつければ比較的問題はありません。
水銀を多く含むお寿司を食べ過ぎてしまった時は、一定期間「水銀の影響がある食べ物」は控えて体内の水銀を排出しましょう。
お寿司を食べることに抵抗がある時は、蒸しエビや玉子・穴子等の調理されたネタを選んで母子ともに健康な食事に努めましょう。