妊娠してからくしゃみや鼻水・鼻詰まりで苦労することがある妊娠性鼻炎。
一般的な鼻炎とはどのように異なるのでしょう。
妊婦さんと鼻炎
鼻炎とは、風邪のような症状「くしゃみや鼻水」が出ることです。
これにより鼻の粘膜が腫れて「鼻づまり」になります。
これらはアレルギー反応によって起こり、鼻の粘膜に炎症を引き起こすのです。
妊婦さんは免疫力に弱くなっているので、アレルギー反応にも敏感になることがあります。
妊娠性鼻炎とは
妊娠性鼻炎とは、妊娠してから鼻炎の症状に悩まされることです。
妊娠してから数週間以上、鼻炎の症状に悩まされることで「慢性鼻炎」と診断されます。
風邪の初期症状と判断しがちですが、妊娠性鼻炎の時は無色透明で粘り気も少なくさらっとした鼻水が出ます。
「発熱」や「黄色で粘り気のある鼻水」が出る時には、風邪の諸症状も疑いましょう。
また、妊娠初期症状の微熱や倦怠感でも風邪と勘違いしないよう気を付けましょう。
妊娠性鼻炎とホルモンバランス
妊娠性鼻炎はホルモンバランスの変化で発症します。
これにより鼻の粘膜の血流量が増加。鼻の粘膜の血流量が増えることでうっ血。
粘膜が炎症を起こすことで、腫れて鼻詰まりになります。
粘膜の血流量の増加は、粘液を分泌する腺を刺激。鼻水・鼻詰まりの症状に悩まされることとなるのです。
妊娠性鼻炎「いつから」
妊娠性鼻炎は、早いと着床後にホルモンバランスの変化が起こり発症します。
つまり妊娠初期から妊娠性鼻炎でも苦労することがあるのです。
症状の持続期間にも個人差が出ますが、産後1〜2週には治まることが多いです。
妊娠性鼻炎と東洋医学
東洋医学(漢方医学)では、体内に水分が溜まると花粉症になりやすいとされています。
そして妊娠をきっかけにホルモンの分泌が増えれば、体内に水分を蓄えようとします。
また、東洋医学でも「妊娠中は鼻の粘膜が敏感になりやすい」ことが分かっています。
元々花粉症の症状に悩んでいる人は症状が悪化することもあるのです。花粉症の症状が無い人に関しては、妊娠後にアレルギー性鼻炎を発症することもあります。
妊娠性鼻炎「服用できる薬」
妊娠初期の2~4か月は赤ちゃんの器官形成時期にあたります。
この時期は「胎児への薬の影響が(特に)気になる時期」なので、妊婦さんが使用できる薬や服用できる期間は限られています。
それでもつらいときには早めに病院を受診して、妊娠中に服用できる薬を処方してもらえるようにしましょう。
※妊娠5か月を過ぎると点鼻薬や吸入薬での治療も可能となります。
妊娠性鼻炎の予防
妊娠性鼻炎の予防でも栄養バランスの良い食事と規則正しい生活が大切です。
睡眠時間はしっかり確保して、疲れを残さないようにします。
疲れやストレスは自律神経を乱れさせて、アレルギー反応を引き起こしやすくするので気を付けましょう。
妊娠性鼻炎「花粉の除去」
妊娠性鼻炎の予防には「花粉を排除すること」も大切です。
花粉が多く飛散している時期は外出を控え、外出時はマスクや帽子を装着します。
帰宅後は玄関先で髪や服に付いた花粉を落としてからうがい・手洗い、洗顔の3セット。
家の中はこまめに掃除をして花粉を除去しましょう。洗濯物やふとんは、乾燥機の使用や室内干しで花粉症を予防しましょう!
妊娠性鼻炎「漢方治療」
妊娠中や授乳中にも使用できる薬には小青竜湯(ショウセイリュウトウ)があります。
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)は、アレルギー性鼻炎の鼻水・鼻づまりの症状を緩和。
※喉が痛い時には効果は期待できません。
副作用が出ることは少ないですが、違和感・異変を感じたら使用することを止めて医師や薬剤師に相談しましょう。
「妊娠中」や「授乳期」の漢方の使用もかかりつけ医や薬剤師に相談してから使用しましょう。
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)とは、体内の水分バランスを調整したり、気管支拡張作用・抗アレルギー作用・抗炎症作用が認められているものです。
くしゃみやサラサラした鼻水がたくさん出て困る人にも処方されます。
体質は「体力が中くらいの人」に向いている処方です。
他にも、漢方薬は「配合されている生薬」によって「細かな体質の規定」があるので、服用する薬は自分で判断しない方が良いでしょう。
《効能と副作用》
小青竜湯(ショウセイリュウトウ)の効能と副作用は以下の通りです。
効能:水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽(がいぞう)、流涙、気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒
※咳嗽(がいぞう)とは、せき込むことです。
副作用には「胃の不快感、食欲不振、吐き気、吐く、腹痛、下痢、動悸、不眠、発汗過多、尿が出にくい、イライラ感、発疹、発赤、かゆみ」等があります。
重大な副作用になると「偽アルドステロン症、間質性肺炎、肝臓の重い症状」等があります。
因みに、市販薬の「ツムラ 小青竜湯エキス顆粒」は2歳未満の子への使用は不可となっています。
妊娠性鼻炎「体質に合った薬」
妊娠中は体調の変化が起こりやすい時期です。
特に薬の服用による妊娠初期の赤ちゃんへの影響は慎重になるところ。
それでも鼻炎がつらいときには、早めにかかりつけ医に相談した方が良いでしょう。
漢方薬は症状だけではなく「(患者さんの)体質」にも合致する薬ではないと効果が出にくいです。※それどころか副作用が強く出ることもあります。
また、病院等で処方してもらった方が健康保険もきくのでおすすめです。
妊娠性鼻炎「症状の緩和」
妊娠性鼻炎の症状の緩和には、適度な鼻うがい(鼻洗浄)や鼻拡張テープ(鼻腔を広げるもの)もおすすめです。
温めた「濡れタオル」を適温に冷ましてから、鼻に当てて鼻をあたためると鼻の通りがよくなります。
39度程度のぬるめのお風呂にゆっくり浸かるのも、体全体が温まって鼻の通りの改善やストレス発散・質の良い睡眠に繋がります。
まとめ
元々花粉症や鼻炎持ちの人は、妊娠することで悪化することもあります。
妊娠中は大きなお腹でも動悸や息切れを起こしやすいです。そこに妊娠性鼻炎が加わると、呼吸が大変になり身体も疲れやすくなります。
妊娠性鼻炎は常に予防しつつ、妊娠性鼻炎になってしまったときは「ホルモンバランスが落ち着けば症状も落ち着く」ので早めの治療で鼻炎の症状を緩和していきましょう。